1月理事長メッセージ

 新年明けましておめでとうございます。 新しい年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう心よりご祈念申し上げます。
 さて、私たちは気の遠くなるような過去から現在に至り、悠久の未来に流れ去っていく。その時間の連続性の瞬間に生かされている。その中で喜怒哀楽を感じ、小さな出来事に無上の喜びやこの上ない悲しみを感じながら運命に身を委ねている。いや私は自分自身の力で自分の道を切り開いているのだから、運命に身を委ねるという言葉は当たらない、と考える人もいるが、所詮、蝸牛角上の争いに過ぎない。そうは言っても、人の平均寿命は80年、その中で過去を慈しみ、現在を享受し、未来に希望を託したい思いは誰もが持つ願い。誠に個人的なことながら今から50年前を思い出し、これからの50年後の予想をしてみるのも満更悪くないかもしれない。それが個人の目を通した偏見と浅はかな知識に基づいた根拠のない意見であっても。
 50年前は1967年(昭和42年)、私は大学4年生であった。毎日美木多村(7年前まではそうであったが、このときはすでに堺市と合併していた。臨海工業地帯を作るために美木多村から大量の土を海に運び、その跡に泉北ニュータウンを作るためであった。当時大阪府企業局は花形であった。)を出発して鳳駅まで7kmの道を自転車かバスで往復し、阪和線で天王寺に行った。私にとって町の中心であった鳳はこの頃より少し勢いが弱まっていった。難波に行くときは羽衣に行ってそこから南海本線に乗った。浜寺、諏訪森はお金持ちの住む大邸宅が沢山あったが、まだまだ至る所に畑が点在し、畑に水をくみ上げる風車が回っていた。今考えると信じられない風景であった。しかしそこに住んでいる人々の中には今ほど規制のない工業地帯から押し寄せる公害に憤りを感じて去って行く人もいた。高度成長期であり、少し前の中国と同じように健康と関連した公害問題に真剣に向き合うことはなかった。
 50年後、2067年(平成79年)、堺はどうなっているのであろう。先日、お葬式に行ったときに「火葬場がいっぱいで2、3日待たされた」と言っていた。生まれる人より亡くなる人が遙かに多い。50年後には、今の20歳代後半の人が寿命を迎える。その時もまだまだ人口が減り続けているだろう。泉北ニュータウンは今でも超高齢社会になっているのに加え、人口減に歯止めがかからず至る所が虫食い状態になって家々が存在しているであろう。あるいは、日本に移住してきた人々が大きなソサエティを作っているかもしれない。昔の単一民族が特徴だった日本人はその面影をすっかりなくしているであろう。細い道、曲がりくねった道の多い鳳や諏訪森は逆に都市計画が進み、スッキリした街並になっているかもしれない。道路が整備され、採算の合わない鉄道は廃止されているかもしれない。車も全てが自動運転に変わり、電気自動車だけになるだろう。その中で、大容量のバッテリーを積んでいることや、大きなトルクのモーターを備えているなどが話題になるだろう。
教育の世界はどうだろうか。50年前、大学進学率は10%以下であった。今では大学に行かない人を探すのが難しいくらいだ。50年後、いま不足している保育園は定員が充足することはなく、24時間保育や病児保育も当たり前になっているだろう。幼稚園もその制度が残ればの話だが、多くは認定こども園に変わり、保育所機能を備えた施設となっているが、一部は幼稚園の矜恃を保ったまま独自の教育理念をもって幼稚園として生き残っているだろう。公立の小学校や中学校は廃校や統合がすすみ、建前ではなく本音の教育方針が徐々に示されているだろう。公私を含め、高校は取捨選択され、生き残り競争に突入している。大学は今の数多くのエセ留学生が減少し、経営が厳しくなり今ある大学の半分以上が淘汰されているかもしれない。そして受験生も自分の資格・能力を磨くことに努力し、高度な専門学校が伸びるだろう。また、超高速旅客機の出現により、一週間ごとに講義を受ける国や言語を変えることが出来、国境を超えた単位の取得が可能になっている。バイリンガル以上の言語を話す人が活躍し、言葉が不得手な人も一瞬のうちに自動翻訳機で意思の疎通ができるようになっている。現金やカードを持ち歩くことがなくなり、その人の指や目で認証されている。また、宇宙から地球を眺める宇宙旅行がツアーの目玉となり、地球一周が短時間となっていく。その一方で地球温暖化が加速され、生物の淘汰が進み、私たちが住みにくい地球になっているかもしれない。まだまだ50年先、これからの私たちの努力で良いようにも悪いようにも舵を切ることができる。時間のあまり残されていない私たちにとっては「こんな地球に誰がした」と非難されることのないように、美しい地球を作り出していく使命をもっともっと自覚していきたい。同時に仕事を発展・拡大させていくことも大事だが、過去から守り続けられたことをしっかり受け止め、守り通して次世代に引き継ぐことの重要性はどう誇張してもし過ぎることはない。そんな重要なことを担う賢い人は市井の中に紛れ込んで、誰に気づかれることもなく淡々と自分の仕事をこなしている。

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