8月理事長メッセージ

 普通の会社生活では、ほぼあり得ない長期にわたる夏休み、教育を受ける生徒、学生として、又教える立場の教員として、私の人生の大半でこの夏休みに関わっている。この夏休みが最近大きく様変わりしてきた。学習指導要領もゆとり教育から教科・知識重視教育へ転換が図られ、それに伴い、夏休みの縮小、補修の充実、教員の毎日の出勤、等が実施されてきた。幼稚園でもほとんど欠勤のない先生の為に、変形時間勤務が採用され、夏休みに充当されている。私たちの園は小学校に準じたと言うよりも自主的に、より一層の保育日数の確保、充実を図るために、今年度より8月25日からの保育になります。まだ少し残暑の厳しさが残りますが、環境を整え、保育活動を進めてまいります。さて、過去に入園前説明会やその他の機会に何回も述べた言葉、「就学前に立派な幼児教育を受けた子供は小学校、中学校に行ってもますます伸びていくが、就学前の教育が不十分、あるいは全然ない場合は伸びる率は相対的に低い」この話は簡略化して特徴的に言ったものだが、その根源を辿れば、シカゴ大学教授で、ノーベル経済学賞受賞のジェームズ・J・ヘックマン氏の理論によるところが大きい。彼はその著Giving kids a fair chance, (子供たちに公平なチャンスを与える)日本語版「幼児教育の経済学」で ペリー就学前プロジェクト(1962年から1967年にミシガン州で低所得のアフリカ系の58世帯の子どもを対象に特別教育や個別指導を行う)、アベセダリアン プロジェクト(1972年から1977年に生まれたリスク指数の高い家庭の恵まれない子供111人を対象に実施、当初平均年齢は4,4か月で年間を通じて8歳になるまでプログラムが実施された。その後21歳まで継続され、30歳時点の追跡調査も行われた。)などを参考にしながら、幼児教育の重要性や幼児教育への投資の効果を主張した。IQを高める効果は小さかったが、14歳の時点で学力検査をしたところ、就学前教育を受けた子供は受けなかった子供よりも学校へ行っている率が高く、より多くを学んできたことから、成績が良かった。最終的な追跡調査(ペリー-では40才、アベセダリアンでは30歳)では就学前教育を受けた子供は受けなかった子供よりも学力検査の成績がよく、学歴が高く、特別支援教育の対象者が少なく、収入が多く、持ち家率が高く、生活保護受給率や逮捕者率が低かった。経済学的見地からすると、「貧困に対処し、社会的流動性を促進するために、所得の再分配を求める声は多いが最新の研究では、ある時点で、確実に社会の不公平を減じるものの、それ自体が長期的な社会的流動性や社会的包容力(立場の弱い人々を排除、孤立させるのでなく共に支え合って生活していこうとする考え方)を向上させない」と主張している。事前分配―恵まれない子供の幼少期の生活改善をすることーは社会的包容力を育成すると同時に、経済効率や労働力の生産性を高めるうえで単純な再配分よりもはるかに効果的である。事前分配政策は公平であり、経済効率がいい。これは幼児期の子どもに投資した方が、成長した子供に投資するよりははるかに安くつき、効率的であると言っている。この面では今日本では幼児教育の無償化が言われているのは正しい選択なのだろう。しかしアメリカでは政治が介入することを嫌い、子どもを自宅で教育するホームスクールの自由化を推進して、学校教育を崩壊させようとしている人も多数いる。ホームスクールで教育されている子どもは200万人を超えている。このような人々に彼の主張は全く受け入れられないだろう。ヘックマン教授の意見に反対の人も多い。例えば、物事を恣意的に(自分に都合のよいように)考えているとか。「社会計画の成果の評価が素晴らしく設計されている程、正味の成果はゼロだと評価される」とか。しかしヘックマン教授の提言は一つの大きな方策かもしれない。夏祭りを経て、長い夏休み、この機会にしかできないことを一つでもいいからやり遂げよう。いろいろな場所に行く機会も増えるだろう。しかし決して事故にあったり、病気になったりしてお父さん、お母さんを悲しませないでほしい。そして8月25日には元気いっぱいな姿を先生に見せてほしい。しばしの別れです。

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