2月理事長メッセージ

 Argentina legalizes abortion. Japan Times のNew York Times 版3ページに載っていた大きな見出し。まず懐かしいアルゼンチンという単語に目が留まり、次にlegalize(合法化する)に目が移り、最後のabortion (中絶)という言葉に隔世の思いを感じた。1969年、ビジネスで降り立った南米の大国アルゼンチン(と言っても、ほとんどの人はそんな国の名前も知らないし、ましてその内情となると、その国に関係する人しか知らない)に降り立った。東京・羽田を出発してニューヨークを経由して24時間、まさに日本の裏側であった。サッカーに興味のある人なら違った感想を持ったかもしれないが、ワールドカップもその当時の有名な釜本の名前も知らなかった。ただパンパとか牛の数が人間の数よりも多く、南極に近くて、パタゴニアという地域があって、白人の国、スペイン語を話す国くらいの知識しかなかった。日本人の私は一応仏教徒であり、真言宗であったが、仏壇とか、葬式でかかわりを持つ程度であった。しかしこの国は違った。ローマカトリックの流れを受け継いだ敬虔なカトリックの国であった。その力は絶対的と言ってもよかった。離婚は勿論、中絶はもってのほかであった.その時私は24歳、その地の同じ世代の若者は宗教と現実の狭間で苦悶していた。それから50年、やっと中絶が法制化された。今までの数多くの悲劇や非合法が合法的になった。それも議会の賛成が反対を大幅に上回った。あの時若かった人はどのような心境だろうか。恋の国アルゼンチン、情熱の国アルゼンチン、こぶしを挙げ、抱き合って喜ぶ人々の写真は長かったその歴史を雄弁に語りかけていた。 偶然私はその記事が目に留まったから私なりに知ることが出来た。しかし私たちは四六時中アンテナを張り巡らせているわけではない。見逃した事実、知らないうちに過ぎ去った過去、事実が次々と私たちの周りに現れ、ほとんどのそれが私たちに無視され、つかみ取られずに消えていく。人はそんなすべてを知ってどうする?取捨選択して受け止めていれば十分だと反論する人もいる。この頃よく思う。あの事実は知った方が良かったのか?あるいは知らずに人生を送った方がよかったのだろうか?何でも、たとえそれが自分に不利な状態になるとしても、今の幸せな生活が暗転して、もがき苦しむような状態になるとしても、真実を希求する人がいる。他人が好意的に考えて、隠し通そうとしても、その善意は通じない。反対に自分のすべての不利な状態をシャットアウトして、今の瞬間が満ち足りたものであれば、過去がどういう状況であっても、どういう立場であったとしても、関知しない人がいる。幸せとは何か、プライドとはどんなものか。人は他人を面白おかしく、たとえそれが事実でないとしても、さも見てきたように得意げに話すことがある。知人や親族や関係する人の自慢をしても、それを聞く人はまたかとうんざりしているのに、それを自覚せずに滔々と続ける。真実はすべて正しいとしても真実を知ることは不幸の始まりになるかもしれない。案外作家の原点はそんなところにあるのかも。翻って私たちのこの世での役割を考えてみると、それは誰かに幸せや喜びをもたらすこと、大きな意味では利他の心を持つことである。えてして人は自分を中心にして、地球が回っていると考えがちだが、人の幸せを考え、人の喜びを追い求めるなら、私たちの社会は概して明るい未来が待っている。そのためにはどんな仕事でも仕事を好きになろう。個人的には学校を出てからPanasonicの社員、府立高校の英語の教師、幼稚園や特別養護老人ホームやケアハウスに携わってきたが、幸いなことにそれぞれの仕事に音を上げる程いやになったことはない。老人施設設立前は年寄りや死の淵にいる人の面倒なんか嫌だと思ったこともあったが、実際に接してみると、人生の先輩たちに教えられたことも多いし、頼りにされたことも多かった。人のお役に立っている。たとえ小さくても、何かの社会的貢献していると自覚が芽生えた。この人たちを喜ばせるために何をなすべきか、どうしたら最後の短い期間を楽しく過ごしてもらえるか、それなりに考えることが出来た。幼稚園でも同じ、未来を支える子どもたちが少しでも立派に成長するように、どういう保育、どういうカリキュラム、どういう環境がいいのか。いろいろ思い悩ますことが多い。先人たちが長年にわたって努力し、考えてきた幼児教育をその根幹を大事にしながら、未来発展へのシナリオ作りをする,仕事に不平、不満を言っている時間がない。今月も先生。園児、保護者の皆さんと密接に連携を取りながら、皆を喜ばす保育を目指して努力してまいります。

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