7月理事長メッセージ

 大きなニュースが次から次へ生まれる、というか作り出されている。先月のオバマ大統領の広島訪問とその地での感動的なスピーチ、そして51.9%、1741万人、イギリスの国民投票(Brexit referendum)の結果であった。人口6000万人余り、有権者4660万人、投票率72%(3356万人)以上の中で過半数の人が離脱(leave)を選んだ。なぜ離脱なのか。日本が国際連盟を抜けた時に使った脱退でないのかわからない。とにかく喧々諤々、甲論乙駁の争いは終わった。キャメロン首相はその結果を踏まえて、官邸前ですぐに辞任のスピーチを行った。どうしてこうもオバマ大統領といい、キャメロン首相といい、ゴーストライターがいるとはいえ、スピーチがうまいのだろうか。「これから何週間か何か月、船を安定させるために首相として出来る限りのことをしよう。しかし船を次の目的地に向かわせるのに私はふさわしくない」 I will do everything I can as Prime Minister to steady the ship over the coming weeks and months but I do not think it would be right for me to try to be the captain that steers our country to its next destination.又 スコットランド離脱の国民投票ではこんなことも言った。If you don’t like me, I won’t be here forever. If you don’t like this government, it won’t last forever. But if you leave the UK, that will be forever.(私を嫌いでも、私は永遠にいるわけでない。この政府を嫌いでも、永遠に続くわけでない。しかし今イギリスを離脱すれば、それは永遠の別れになるだろう) 幼稚園の毎日の職員朝礼で、国民投票の結果が分かる日の朝、イギリスは絶対E.U.を離脱しないだろう。と言い切った。昼過ぎにはものの見事に裏切られた。よくよく考えてみれば、当然の帰結であったかもしれない。七つの海を支配する大英帝国、世界中から冨が集まり、戦前の日本はいくらもがいてもその足元にも近づけなかった。その国がイギリス病と揶揄されるほどストライキやサボタージュの国になり、権利意識やプライドだけの高慢な国になった。サッチャー首相によって目を覚まされたイギリスは驚異的な成長発達を遂げたが、今のイギリスはどうだろうか。ロンドンで買い物をしても、純粋なイギリス人の従業員に出くわすことはほとんどない。ヒースロー空港、水道事業を始め、公共施設から大手百貨店、自動車産業等に至るまで、多くの企業はイギリス以外の企業によって支配されている。原子力発電までもが中国の資本によって運営されるとか。ナチスがロンドンをV2ロケットで攻めた時もロンドン市民は耐えることが出来た。すぐに降伏したフランスとはアイデンティティの高さが違う。そんな弱い仏や一強の独の言いなりになるのはむかつくところもあるのだろう。イギリスを日本に置き換えてみたらどうだろうか。S社は台湾資本の軍門に落ちた。韓国や中国の経営者にとって代わられている企業は少なからず見られるが、大企業ではほとんど例がない。株主構成までは分からないが。もし日本の有力産業や公共施設が殆ど外国人の手におちたら、日本は果たして「もっとたくさんの企業を経営してください」と懇願するのだろうか。日本人はプライドの高い民族、今は国論が割れて、どこの国の政治家と思えるような発言をしている人も、きっと目を覚ますかもしれない。ほとんどすべての新聞は離脱に対して批判的な記事を書いていた。経済的に不況が来て、リセッションになればだれでも困る。しかし当事国の半部以上の人が選んだ道、第三者が批判するのはおこがましい気がする。昔行ったイギリスの湖水地方、そしてピーターラビットの世界、本当に美しいイギリスの原風景だと思った。そして至る所にnational trust の文字、環境保護にも一歩先んじていた。英国出身の作家、C.W.ニコルさんは読売新聞に「為替や株価への影響を気にする日本人も多いが経済的な観点だけで考えないでほしい。英国は近年自然保護に力を入れ、環境、教育などで日英が交流できる場面が多い。両国の友好が続いてほしい。」歴史は経済のみによって動くものではない。そこに住む人の営みが歴史を変え、歴史を作り出していく。それにしてもキャメロン首相の国民投票はゴールに向かっては失敗したが、さすがイギリスのdemocracyの真髄を見た気がした。今までの意見はあくまで私の個人的な感想を述べたもの。私には若者のような輝かしい未来があるわけでない。イギリスには残された時間が短い高齢者によって決められたという不満もある。しかし老若男女が住み着いて構成する社会が国であり、その意見は種々雑多である。幼稚園児たちが大人になる頃にはもっとグローバリゼーションが進み、日本も多国籍者であふれているかもしれない。しかしそれはそれでその時の住民が選んだ道、第三者がとかく批判すべきでない。逆に大統領候補のトランプ氏が主張しているようにモンロー主義、孤立主義の道を選んでいるかもしれない。批判は謙虚に受け止め、決まったことは尊重されねばならない。園児の皆さんが将来幸せに人生を送れることを夢見て、今月号を終わりにします。

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