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諦観と希望

2020.07.01


 7月文月が始まりました。普通であれば、いよいよ2020 TOKYO Olympicのまさにその月ですが、その開催も来年に延期され、そして次の2024 Paris Olympicが決まっているために、2021 Olympicは正念場、肯定的に考える人もあれば、悲観的な人もいる。果たしてどうなることやら。20代、30代は感染しても死の恐怖はないと言われ、そのせいでないかもしれないが、若い人の感染者の報告が多い。ウイルスが勝つか、人の英知がそれを凌駕するか、今はせめぎあいが続いている。未来を担う小さな子供たちがそんな災禍に見舞われないためにも、より一層安心、安全と保育・教育活動の共存を目指して、保護者の皆様と協力し合って、様々な行事を進めてまいります。さて、私たちは生涯にいろいろな人に出会い、感動し、教えられ、心豊かになり、また反対に悲しい気持ちにさせられる事もあります。運命のいたずらと言うべきか、その出会いによって上昇のきっかけをつかみ、頂点にまで上り詰めた人もいれば、疫病神的な存在の人に出会い、感化され、悪の道に誘われ、身を亡ぼす人もいる。それが長く続く友情のきっかけになりえるし、反対に一期一会のように、生涯にただ一度まみえること、一生に一度限りである場合もある。それ故、一期一会を大切にと考えるのが本来の筋だが、概して旅の恥はかき捨て的な気持ちでやり過ごしている。その結果不本意な評価がどこからともなく聞こえ、戸惑い、不利益を被ることがある。最近マドンナ主演のエビータ「EVITA」のビデオを再び見る機会があった。第2次世界大戦中のアルゼンチンは何の影響も受けないどころか、反対に豊富な農産物を輸出して、莫大な富を蓄積した。その時に労働者階級の圧倒的な支援を受けて、大統領になったのがフアン・ペロンであった。一方エバ・ペロン(EVITA)はブエノスアイレスから遠く離れた田舎で私生児として育ち、15歳で野心と成功への夢を見ながら大都会へ無一文でやってきた。大きな声で言えないような様々な仕事や人間関係を通じて、次第に頭角を現し、ついにはペロン大統領と知り合い、結婚するようになった。詳細は映画の中で語られている。豊かな富を惜しげなく人々や戦争で疲弊した欧州や日本にまで差し出し、その人気は絶大であったが、若いころの無理がたたったのか、33歳で子宮がんでこの世を去った。彼女の葬儀には数十万人の市民が参列した。映画の中でも描かれているが、彼女のモットーは「負けを嫌って強いものになびく」又「鋼鉄のような強い意志を持っていても、それを包む肉体が朽ちていく」とも言った。当然と言えば当然、非情といえば非情であった。しかしどんなに栄華を極めようとも、どんなに人から好かれようともいつか人は朽ちていく。その諦観の中で古代ローマ皇帝のマルクス・アウレリウスは次のように書いている。絶えず思うがいい、どれほど多くの医者たちが、病人の為にしばしば眉をひそめながらやがて自分も死んでいったか、どれほど多くの占い師が他人の死を何か大ごとのように予言しながら、死んでいったか、またどれほど多くの哲学者が死や不死について幾多議論を繰り広げながら自分たちも死んでいったか、またいかに多くの英雄が、多くの人を殺しながら死んでいき、どれほど多くの暴君があたかも自分は不死身であるかのように、恐ろしい傲慢さで他人の生命を左右しながら、自分も死んでいったか。またおよそ君の知っていた者を一人一人数えてみるがいい。一人が他の人を世話して、それから自分が参ってしまい、その人を第三の人が世話をする、これらすべてはちょっとの間のことだ。一言でいえば、人間的なことはいかにはかなく、つまらなく、そして昨日の小滴は今日はミイラか灰であることをいつも思え。かくてこの短い時間を自然に従って通り過ぎ、ちょうどイチジクが熟すると、産んでくれたものをほめ、養ってくれた木を感謝して落ちるように、おちついて旅路を終わるがいい。
一学期は8月7日まで、元気いっぱい夏を乗り切っていきましょう。

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