ブログ

巣立つ子らへ

2023.03.01


 少しずつ日差しに春を感じ、クロッカスにも小さい黄色の花が咲き始めました。梅の花も満開を迎え、固く閉ざした樹木の蕾もふっくらとなってきました。ボケやモクレンが今か今かとその出番を待っている。いよいよ春の到来です。自然の大地が春の来たことを感じ、草木が徐々に芽吹き、成長しつつあります。北国では山や野が雪化粧を落とし、トドやアザラシが流氷と共に訪れるころになりました。この時期昔ほどでないにしても、霞がたなびく季節であり、なんとなく心もざわめき始める時です。何かしら期待と希望の幕開けです。それらすべては大気と土が潤い、日差しが強まった事の証でしょう。田んぼの畔や土手で顔をのぞかせるツクシやタンポポ、レンゲ、それらの花と匂いが重なり合って私たちに自然と共に生きることの素晴らしさ、魅力を教示している。自然の躍動と私たちの鼓動が相まって、全てが大きく波打っている。生きとし生けるものすべてに万歳です。先日の発表会に際し、ご来園、ご声援ありがとうございました。本人の頑張りもありますが、この一年間の成長・発達は目を見張るものがありました。精一杯頑張った、持てる力を出し切ったとほめてあげたいと思います。それと同時に先生方も子どもたちとかかわり、様々な行事を苦労し、努力して乗り越えたことによって、本当に大きな成長を遂げたと思います。この頃の幼児教育を卒業する短大生、大学生のほとんどが「楽だ」とか「ピアノがいらない」とか言って保育所志望する中にあって、幼稚園で一生懸命子どもたちと交わり、努力し、練習し、前向きに頑張っている先生は本当に立派だと思いました。人は生涯勉強し、努力しなければと言われます。そして又努力は人を裏切ることはしないとも言われます。私の知り合いの中には官僚も大企業の社長さんもいませんがその人たちは時にはマスコミにたたかれ、一般の人からは怨嗟の気持ちで見られることもあります。それは正当な評価でしょうか。日経新聞の私の履歴書を読み、様々な話を聞くと、何倍もの努力をし、勉学に努め、今の地位にたどり着いた人がほとんどです。中には青雲の志が実を結ばなかった人もいることでしょう。しかしそんな人はほかのことで運をもらっているかもわかりませんし、人間として大きな成長を遂げていることもあります。アメリカ人と違って、日本人は人の成功を羨んだり、けなしたり、あるいは何かあるのではと勘繰ったり、はては失敗すればいいと思ったりする。アメリカでは、あの人が成功したのだから、私も頑張ろうと前向きに考えることが多い。長年この日本に住んできて、よく考えるに、若い人は大事に大事に育てられてきたせいか、最後は誰かが助けてくれるだろうと甘い考えを持つ人が多い。それで働き口がいっぱいあるからと言って転職を繰り返す一因になるのかも。腕を磨きたい、技量を盗みたいと言って有名店で修業する若者が多かった。理不尽のことや下働きに堪えて、自分を磨いていった。しかし今やそんな店に修業に行っても、すぐにブラック企業だとか、人使いが荒いとかクレームをつけ、自分のことを棚に上げて人を訴えることがある。必死になって努力しなければ、挫折感だけ味わい、二度とない人生を無為に終わらせることになる。巣立っていく年長の子どもたちには、「友達を作ろう」、「勉強しよう」、「努力しよう」、「時には我慢もしよう」、「そして健康や事故には十分気を付けよう」 とエールを送りたい。そして年長以外の皆さんには「もう少し私たちと一緒に幼稚園で楽しく過ごしていこう」と伝えたい。3月は春の彼岸の月、此岸(現世)に対する別次元の世界であり、拘束のない自由な境遇、身の上を考えてみることもできるし、それは一種の理想郷であり、観念の世界になっている。それ故、この時期に巣立つ子どもたちには、汚れと不自由に満ちた此岸に、理想と意欲に燃えた彼岸をもたらしたいと思う。世間の荒波に翻弄され、悲しくなったり、寂しくなった時には幼稚園のことを思い出してほしい。又幼稚園を見に来てほしい。私たちも精一杯頑張って、いつまでもこの地に幼稚園、皆さんの母園が存在し続けるように努力していきます。Von Voyage, 皆さんに栄光あれ。

惻隠の情と積善の家

2023.02.01


 共通テストが終わった。その結果で志望校の選択を迷っていることでしょう。蛍雪の功とか二宮金次郎という言葉はいよいよ人々、特に若者の中から無くなってきたと報道されています。大学全入時代に突入したと言っても、何倍もの大学があるかと思えば、定員を充足できない大学も多数存在する。ただ単に所属しているのではなくて、その目的を達成するために、そして少しでも自分の能力を向上させる目的で選ぶ、故に競争力の差が出てくるのは当然の帰結、大学という名前に昔ほど重きを置かなくなったし、ステータスのシンボルでもなくなった。とは言え、昔の高校生と同じかそれ以上に勉強し、努力した高校生にはうれしい便りが届いてほしい。残念ながら栄光を手に入れることができなくて、今となっては色褪せた浪人生活を余儀なくされても、次の一年間の頑張りは人生において決して無駄ではない。逆に大きな成功への一歩になるかもしれない。兎に角努力しよう。意欲を持とう。何事にも泣き言を言わずに積極的に取り組もう。そんな姿を人は知っている。言葉に出さなくとも人はじっと見ている。一年間の予備校生活の間にいろいろな友達ができ、様々な環境があることを学ぶだろう。昔は府立高校はオールマイティーで、私立高校は、ある意味、府立高校の不合格者の行くところであった。しかししばらくして、その立場が逆転した。成績優秀者は私立高校へなだれ込んだ。今、受験競争は幼稚園から既に始まっているとも言われている。英語教材も含んだ様々な学習教材、私立小学校への受験、小学校は公立でも、私立中高一貫校への進学、勉強する子とそうでない子の二極化が進んできた。勉強の能力、すなわち認知能力も大事だが、自制心、計画性、協調性、忍耐力、意欲 など等の非認知能力も大事であり、これも人生における大きな成功のカギだと言われる。広い園庭、幼稚園という有利な恵まれた環境を利用して、子どもたちのさらなる能力、隠れた能力を伸ばし、引き出していきたい。ところで、世の中はなぜもこうも索漠としたものになったのでしょうか。円安になり、物価が上がり、給料が上がらなくなって、ドイツに抜かれて、世界ナンバー3からナンバー4になるのは目前、もう抜かれているのかも。毎日のように一部の若者たちが疑いを知らない、あるいは持たない善良なお年寄りをだましてお金を奪う、危害を加える、命を奪うことが大きなニュースとなっている。一部の若者の暴走に過ぎないと言う人もいるが、由々しき事態になってきた。日本は世界で一番安全な国でなかったのか。私たちは恥の文化を忘れてしまったのだろうか。それがグローバル化、コスモポリタン化の悪い一面だろうか。日本や日本人の狭い範疇にとどまり、人と助け合い、人の難儀を見過ごしにできない慈悲心、惻隠の情を忘れてしまった、あるいは持っていないのだろうか。西洋の優れたものを取り入れることも大事だが、足元の日本人の長年にわたって培われてきた文化や思想、考えも本当に大切にしたい。最後に一つの言葉を贈りたい。「積善の家、必ず餘慶あり、積不善の家、必ず餘殃あり」善を積んできた家は必ず孫に至るまで幸福が続く。反対に不善の行いを積む家には必ず子孫に至るまで災禍がつづく。
太陽が少し私たちに近づいたとはいえ、一年のうちで一番寒い時期、天が私たちに与えた試練を克服し、明るい春に向かって一歩踏み出しましょう。
今月もよろしくお願いします。

明けましておめでとうございます

2023.01.01


「福寿草 遺産といふは蔵書のみ」高浜虚子。旧暦の正月、花のない乏しい寒期に咲く鮮やかな黄金色の花、そして新年を祝うめでたい「福」「寿」の文字、アイヌ伝説によれば、父君が選んだ婿の神を嫌って結婚を拒み、神の世界から追放されて、野の咲く花に変えられたクナウ。保護者の皆様の2022年はどのような年でしたか?思わぬ運が転がり込んできたり、反対に不運に見舞われた人もいたかもしれません。しかし大多数の皆さんはいつもの年と同じあまり変化のない年月だったのではと思います。私にとっては勝手に第二の故郷と考えているアルゼンチンがFIFAワールドカップで36年ぶりに優勝したことがいい出来事でした。最初に訪れた53年前のサッカーの熱狂ぶりからして、痛いほどその感激ぶりが伝わってきます。当事者には全然わからなくても、世界には勝手に、静かに応援する人がいることは誰もが認めることだと思います。それでは2023年はどんな年であって欲しいでしょうか?物価の急激な上昇が収まり、日常の生活が少しは楽になる、お子さんが無事進級、進学してほしい、懐かしい人に会いたい、いろいろな思いがいっぱいあると思いますが、突き詰めていけば、いつもと変わらない平凡さが一番かもわかりません。思いの10%位が実現し、50%も実現すれば、超感激でしょう。お子さんが健康で、勉強にスポーツに一生懸命取り組んでほしい、幸せや運がもっと来てほしい、そんな保護者の皆さんの願いに少しでも応えることができますように、私たちもこの2023年は様々な観点からSDGsへの取り組みも含めて、幼児教育を再確認していきたいと思っています。保護者の皆様に寄り添い、保護者の皆様からの厳しいご要望にも誠意を込めて取り組んでまいります。手を携えて子供たちの成長発達を図っていきましょう。その為にも「親の背中を見て、育つ」の諺通り、私たち大人が様々なことに努力し、子どもたちの模範になるような姿を見せなければなりません。さて国の根幹は教育です。戦後アメリカ軍は日本の教育を根本的に変えました。今でも、ある国では自由で主体的な教育を認めずに国民の意見を同一化しようとしています。「三つ子の魂百まで」、その時期から徹底的に負の教育をされたら、いったいどんな意見を持つ子が育つのでしょう。日本はある意味恵まれていますが、自由の中にも一定の規律が必要であるのは言うまでもありません。「何事にも努力すること」「礼儀作法を身に着けること」「日本の歴史を学び、伝統的歴史文化に誇りを持つこと」日本人が日本人であることの規範であり、証でもあると思います。コスモポリタンの中にあってもやはり「日本人は違う」というアイデンティティが必要です。残念ながら日本の少子化は止まりません。2022年の出生数は80万人を切ることは確実です。周りを見ても幼児の少ないことに驚きです。そんな中で子どもたちはますます自立の必要性に迫られています。保護から脱却して独り立ちの世界です。子供たちの自立を促す意味で、私たちは何をなすべきか。その土台作りをしっかりと私たちは取り組んでまいります。何事にも挑戦する子どもたちを育てていきます。新年は不断に流れていく時間につけた一つの目盛りであり、命が新しくなる時です。足踏みせずに動き続けます。前進続けます。若さは可能性がいっぱいです。十分それを意識しましょう。年取ってその可能性に気付いたとしても、それを伸ばす力が失われていることが多い。アメリカの政治家で科学者のフランクリンは13の徳を言っています。1.節制 2.沈黙 3.規律 4.決心 5.倹約 6.勤勉 7.誠実 8.公正 9.中庸 10.清潔 11.平静 12.純潔 13.謙譲 私はこれに感謝と素直も付け加えたい。ある幼稚園の主任の先生がいみじくも語っていました。家族に感動を与えることができる幼稚園でありたい。子育ては一筋縄ではいかず、沢山の苦労があります。特に幼児期の保護者は心配事が山ほどあり、お母さんという立場の人は産後うつ、育児ノイローゼ等、体がマイナスな状態になるリスクを抱えながら子育てをしています。そんな中でこの幼稚園に入園させて良かった、母親(父親)になってよかった、子育ては大変だけれどもこんな経験をさせてもらえる園に入れてよかった。逃げ出したくなる日もあるけれど、お母さんになって本当に良かったと思っていただけるような園でありたい。
私たちもお母さんからゆるぎない信頼を得、頼ってもらえることができる幼稚園を目指して、2023年ひたむきに取り組んでまいります。本年も変わることのないご支援、お力添えをお願いいたします。

厳しさの先に見える一縷の光

2022.12.01


 「旅に病んで夢は枯野を駆け巡る」51歳の時に旅をこよなく愛した松尾芭蕉は、旅の途中、病床に伏しながらも、「夢に見るのは今なお枯野を駆け巡る私自身の姿」と詠んだ。今では想像もできない情景だが、私が生まれた泉北の地は、開発される前一部このようであった。虫の音も聞こえず、寒風が吹きすさび、ススキの穂が大きな波を打っている。荒涼とした大地、荒れ地、自然の厳しさを身をもって教えられた寂寥とした風景であった。芭蕉自身も、もう旅に出ることはできないのではという悲観的な考えをする一方、反対に今は病で伏しているが元気になったら、夢の中で枯野を駆け巡っている希望的な解釈、まさか4日後にはこの世に別れを告げる時が来ようとは思ってなかったであろう。古今東西を問わず、私たちは苦しい時に何か明るい希望の情景を作りだしたり、思い出したりして生きる意欲を駆り立てる。いつのまにか12月、冬の季節を迎えた師走、老人たちにとってはもっと遅く来ればと思ったりする年末、されど子どもたちにとっては大きく、たくましく育ったこの一年、保護者の皆様の2022年はどうでしたか。勿論悲しい出来事もあったかもしれませんが、子どもたちと過ごすたくさんの小さな喜びも存在したことでしょう。どうぞその喜び、幸せを大切にされて、2023年、新しい時を迎えられることを心より祈念しています。
さて、長崎での研修大会では、まず初めに私は初めて名前を聞いた高校でしたが、創成館高等学校校長の奥田修史さんの話がありました。1971年生まれ、ハワイ大学を卒業し、帰国後祖父の代から続く奥田学園に就職し、32歳で理事長、34歳で校長に就任した。それまでは「偏差値なし」、経営破綻寸前、年間生徒指導数300以上、名前を出すのもはばかれる学校、地域から嫌われる学校であったが、数年で立て直すことに成功し、今や有名国公立にも多数合格するほどに実績を伸ばし、野球部は甲子園常連校になるほど成長した。以前の入試説明会では体育館がガラガラであったが、今やあふれるばかりの志願者が押し寄せている。ラジオ、テレビの出演も多く、その経営手腕は高く評価されている。赴任したころは「そんなことをしても無駄」「どうせできない」というような「負の考え」が充満していた。若さも大きな武器だったのでしょう。まず学校の常識を疑ってみた。次にオリジナルな物に変えていった。又批判されようが独自性を貫いていった。そして負け犬になっていた生徒、教職員に自信と希望をつけさせた。I PADを生徒全員に持たせたり、定期考査を廃止して、毎週テストしたりした。教職員の朝礼では笑顔のない朝礼はいらないと言い、先生がアロハシャツを着ての勤務も行った。いわゆる型破りを実践した。「本気で生きる姿を見せる」「本気しか物事を動かされない」と断言し、宿命と運命の違いを述べた。
次に文科省の藤岡幼児教育課長の話があった。文科省の官僚だが、実際横浜の旭中学校の校長として3年間勤務した。校長を経験した官僚は二人目であった。安全な環境の確保として、スクールバス事故を受けて、子どもの安全安心対策支援パケージの導入支援を言われた。実際スクールバス所有の全ての園に行政からの実施調査があった。近々文科省主導でバスに再発防止機器が取り付けられる予定だ。次に出生数の推移を述べられ、1973年に210万人が2021年には80万人に減少した。この事で、経営者及びミドルリーダーの意識の醸成が重要だと説いた。施設の数では令和3年度は幼稚園9418園、100万人、認定こども園8535園106万人、保育所31238園209万人となっている。又待機児童は2017年には約2.6万人いたが、2022年には3千人になった。教育基本法では幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものと定義され、粘り強さ、好奇心などの非認知能力がついているかどうかが求められている。そして学校教育法第22条では幼稚園は義務教育及びその後の基礎を培うものと定義され、あきらめるのではなくて、やってみよう、教えられたことだけやるのではなくて、いろいろなことに興味をもってやってみることが大事と言われ、そして幼稚園と小学校の接続、連携の重要性を強調された。次に新潟大学の溝口教授の少子化と新しい家族の創成についての講演がありましたが、その中で家族持ちは「しんどい」、結婚の意思があるのに、結婚しなくなった。子を持つコスパ悪化で、「しんどい」結婚生活になるので、未婚化の一つの要因かもと言われたことが気になった。今回の研修大会を通じて、私たちは子供たちの可能性を伸ばすために、様々な方策を考えるべきであり、それが「三つ子の魂百まで」の格言に沿う努力目標ではないかとの思いを新たにした。

エキゾチックな香りに魅了されて、長崎へ

2022.11.01


 スペインの国の花、グラナダ(ザクロ)が家の軒先で最大のおめかしをして、その実を食べるように私たちを誘惑している。昔スペイン語の教授がザクロはその実の形、内容から手りゅう弾と同じ意味を持たされているのを残念だと語っていたことを思い出す。秋が深まっていく10月下旬、その日、暗闇の中、早朝5時30分に家を出て、伊丹の大阪空港に向かった。駐車場はまだ余裕があった。久しく来ていないせいか、手荷物検査場の場所が変わっていたのには驚いた。7時20分発のJAL2371便の搭乗口は一番遠かった。待つこと30分、機内はそんなに混雑していなかったが、ランウェー(滑走路)は混んでいて、15分ほど待たされた。その遅れを取り戻そうとしているかのように、飛行機は出力を最大限ひねり出して、急角度で高度を9000mまで引き上げた。1時間ほどして、大村湾の上空に到達し、低空飛行を維持しながら無事長崎空港に着陸した。タクシーの運転手や町の人にいろいろ聞くのが好きだ。この飛行場は元は大村空港と言って、海岸沿いにあったが、騒音などの関係で、1975年、対岸2km先にある箕島を買い取って、日本で初めての海上空港になったそうだ。箕島には10世帯弱の住民が住んでいたが、町に移住してもらった。先祖代々受け継がれ、住み続けてきた人たちの心情はいかほどのものだったか?人は重大な決断をせねばならない時が何回かやってくる。何を大義名分にして決断をするのだろうか。そのお陰で今の大村市は長崎県の中では長崎市、佐世保市、諫早市についで人口では4番目で、町はきれいで、発展し続け、住みたいという人が増えていると、その人は自慢げに語っていた。通過するだけの新幹線はいらないと言って、又水は他県に流れるとか言って、リニアに反対する、それぞれの知事はあまりにも狭い了見の持ち主ではと思ったりする。今は一地方の問題であっても、将来的にはどのように展開するかわからない。レンタカーのカローラを借りて、40kmほど離れた長崎市を目指して、右手に大村湾を見ながら車を進めた。第37回全日本私立幼稚園連合会設置者・園長研修大会の会場、出島メッセ長崎はJR九州長崎駅の目の前であったが、ホテル同様、ナビにはなかった。新しすぎるせいであった。連合会会長の二つの発言が印象的であった。一つは丁度真冬にフィンランドの幼稚園に行ったとき、保育時間は朝8時から4時までと言われた。フィンランドの冬は夜が長い。それでは昼の長い夏の保育時間はもっと長いですかと質問すると、3時までですと答えられた。その理由は家族と過ごす時間が本当に大切だからですとのことであった。それに後の一点は非認知能力のことであった。認知能力はIQ等に示されるように点数などで数値化できる能力、それに対して、テストなどで数値化が難しい、内面的な能力、例えば意欲、忍耐力、自制心、判断力、行動力、協調性、思いやり、創造力や応用力等、子どもが人生を豊かにするうえでとても大切な能力。そしてこれらの能力は幼児期から学童期に育ちやすい。それらの涵養のために、園庭の活用が大切であり、広い園庭を持つ幼稚園は大きなメリットがあり、その活用方法も十分認識すべきだと説明した。最後に子供とともに育つ楽しさ、うれしさ、そしていかに良質な教育をしていくか、子ども自身が生まれてきてよかったと思える社会、伝えたい思いがある社会、そんな社会ができるように私たち幼稚園関係者は身をもって努力していかねばと述べた。次に長崎県の大石けんご知事と長崎市の田上富雄市長の話が続いた。知事は千葉大学出身のお医者さんで、この前まで厚労省のコロナ対策委員であった。今年39歳で日本一の若さで知事になり、3,4,5歳の3人の幼稚園児の親、一方の市長はお孫さんが幼稚園児、両氏とも長崎県五島の出身だが、異国の香りがする長崎、グラバー邸、オランダ坂、出島など等、長崎のいいところをいっぱいアピールしていた。実際新しい長崎駅の1階の食堂街で食べた海鮮丼ぶりは本当においしかった。又その夜に市内の稲佐山に登ったが夜景が見事であった。両氏は幼児期の重要性はいくら強調してもしすぎることはないと述べられ、変えてはいけないもの、変えなければならないものをしっかり見極めながら行政を進めていくとお話しされました。そのあとの記念講演、文科省の役人による行政報告、基調講演については12月の園便りで報告いたします。いよいよ今年もあと二か月、それが短いか長いかは別として、季節の変わり目、十分に気を付けて日々を過ごしましょう。
« 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 »

記事検索

カテゴリー

アーカイブ

- CafeLog -