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未来に残す遺産を

2018.06.01


6月、水無月(水の月)、農耕民族にとって大切な季節の到来です。体の消耗が激しいこの季節、親子ともども元気いっぱい乗り切っていきましょう。さて、世の中は天下泰平である証明なのかまたは三文記事に興味を持ち始めたのか、マスコミは売れる記事を求めて、針小棒大に報道し、それがどれほど人権を侵害しているのかを検証しないし、コメンテーターはディレクターの言いなりに自分の意見(持っているならばの話)を殺して発言している。週刊誌や新聞は特ダネを取ったかのように人のプライバシーの中に入り込み、パワハラ、セクハラ、マタハラ等のハラスメントに大きなスポットライトを与えている。過去からの全ての言葉がそれに関連付けられて非難され、素直な言葉の表現にも躊躇している。このことに食傷気味で、もういい加減にしろ、という意見もあれば、もっと見たい、聞きたい、知りたいという人もいる。何が正しくて、何が間違っているのか?時代の流れかなと思ったり、反対にもっと寛大な心を持ってほしいと思ったりもする。働き方の面でも同じ。昭和43年、会社に入って2年後に海外駐在を命じられた。そこで見た光景は今でも忘れられない。終業時刻で、幹部社員以外は仕事途中でも、一斉に退勤した。残った幹部はそんなことにお構いなく仕事を続けた。ルーティンワークだけで満足している人は、会社を愛する、仕事が好きというよりは自分の労働を切り売りしているだけで、ほかに良い条件があれば、いとも簡単に会社を替わった。地位やサラリーの向上を目指す者はそんな中にあっても人一倍仕事をした。明治維新からこの方、大きな戦争を経て、世界有数の経済発展を遂げることができた。勿論無謀な命令によって尊い人命が虫けらのように失われた悲惨な事実も存在し、大きな負の遺産となっている。しかし明治維新以来150年、日本人は不眠不休で頑張ってきた。誰が非難できようか。少しでも生活を向上させようと必死であった。その努力が実を結んだ。日本が外国に持っている債権は世界一の規模であり、ひょっとしたら、贅沢を言わなかったら、そんなに仕事をしなくても、暮らしに困らないかもしれない。小、中、高、大と適当にすごすだけで、就職先が見つかるかもしれない。そんな努力しない生活に満足が得られるのだろうか。しかし一方で、子どもが生まれた瞬間から勉強を始めさせる家庭がある。それはなぜなのだろうか。将来に対する漠然とした不安と勉強し努力することは将来大きな実を結ぶことを知っているからだろう。50年前、日本とアメリカの所得の差は10倍以上あった、日本と中国や韓国との差もその位であった。今はどの国とも大して差はなくなってきた。日本には1億人以上の比較的所得の高い人々がいるので、今はまだ企業も国内消費に助けられている面があるが、その優位性も開発途上国の追い上げに直面している。同じ商品を作り、同じ仕事をしているのであれば、遠からずアジアの諸国と同じ賃金体系になっていく。その商品、made in japan は戦前、ドイツ製品と比べて、安かろう、悪かろうの代名詞であったが戦後品質管理に積極的に取り組んだ結果、世界からその商品が垂涎の的で受け入れられるようになった。今は衣服から工業製品までmade in japan を前面に打ち出している。しかし少子化のせいか、人手不足のせいか、made in japan の劣化が始まり、その優位性がなくなるのも時間の問題という人もいる。いろいろ鑑みて考えると、私たちは社会のため、他人のために今以上に一生懸命働く、勉強する、このことが私たちがこの世に生まれてきて、やるべき大きな義務でないだろうか。権利も主張することも大事だが、義務に裏打ちされた権利が大切と思う。今外国人は大挙して日本に押し寄せている。先人たちが残してくれたさまざまな遺産に大きな賞賛を与えている。先人たちのように、私たちには残せるものがあるのだろうか。未来を支える幼稚園っ子、前途多難な道が待ち構えているだろう。子どもたちを立派に、やさしく育て上げるのは社会や親の努め、そしてその道を切り開いて進んでいくのは君たち、大きな期待にこたえることができるよう、頑張りをしてほしい。

三園、ともに協力し、力を出し合って

2018.05.01


42年前に泉北ニュータウンO住区(鴨谷台)の開発に伴い、大阪府企業局の幼稚園設置者募集に応募して立ち上げた美木多幼稚園、建築図書だけでなく、幼稚園設置に必要な設備、遊具、教材などの予算及び購入の文書並びに設置に必要とされる教職員の配置と確保、専門家の手を借りずに何回もの行政との打ち合わせ、大阪府からの土地購入や園舎建設の資金、解決すべきさまざまな問題が次から次へと押し寄せてきた。幸い仲間や友達に恵まれ、書類上の問題はどうにか解決することができた。パソコンもワードもない時代、全て手書きの書類であった。一番の問題は資金であった。両親も私も一介のサラリーマンであり、1970年代後半の2億円は今でも大変だが、当時は想像を超えていた。両親の退職金や私の新築の家や先祖代々耕作してきた田地の売却、そして何よりも知人に紹介を受けた住友銀行堺支店の支店長が担保にならない調整区域の田畑を担保にして融資していただいたのが嬉しかった。父親は担保に入れることは隣近所の手前強く反対したが、私は無理を押し通した。それら調達した全ての金額と20年返済の私学事業団からの借り入れで資金のめどがついた。赤い瓦屋根の園舎の建築が始まった。日に日に完成に近づき、昭和53年4月1日に開園することができた。33歳のときであった。当初40人あまり、人数は心配していなかった。どうしたら子供が喜ぶか、どうしたら子供のためになるか、どうしたら保護者の皆さんに理解してもらえるか、応援団になってもらえるか。それまでの幼稚園にないこと、していないことを次々と取り上げていった。それが初代園長の人柄と相まって、加速度的に園児数が増えていった。しかし町が成熟するにつれて、園児数も徐々に減り始めた。諏訪森幼稚園は今から9年前に経営が厳しいから、協力してほしいといわれた。諏訪森は高校の友達がいたせいか親近感があった。諏訪森幼稚園は堺で2番目に古い幼稚園と知った。そして老若男女にかかわらず、地域に卒園されている人が多いと聞き、経営に参加させて頂くことになった。その後、認定子ども園として認可を受け、4年目になった。建物や土地購入に対する国や市町村からの補助金は幼稚園については全くないが、認定子ども園は国の施策でもあり、資金的には苦しかったが、一部補助金を受けて新しい建物が完成した。それから3年余り、教職員、保護者の皆さんのご理解により、園児の皆さんにも来ていただき、負債の返済も順調に推移している。これからも創立に携わった先人たちの意思を汲み取って、地域の幼児教育センターとして、その存在感を高めていきたい。鳳幼稚園は民営化に伴って応募し選考された。前の公立鳳幼稚園も長い歴史を持ち、決定される前に何回か見学にも言った。どことなく歴史を感じさせる幼稚園であったが、古い幼稚園を取り壊し、建物を新築した。幼稚園部門に対する国からの補助金は全然なく、大きな負債を抱えたが、鴨谷学園全体で見ると、負債よりも資産のほうがはるかに上回っている。三園に共通してこだわっている所はどの園も天井の高い遊戯室が備わり、子どもの安心、安全を考えて床が無垢のフローリングになっていることです。保育内容は地域的なことも加味して、園によっては多少の違いがあるものの、カリキュラムは三園共通しているところが多い。遠足も学年によって同じ場所に行くこともある。三園交流会も楽しいイベントです。三園の専門の講師の先生、音楽の小林先生、体操のコスモスポーツの先生、絵画の舟井先生、英語のECCの外人の先生等、皆共通の先生方であり、園独自の園内研修、三園合同での研修もよく行っている。また三園の園長、主任先生が毎月集まっての主任会では保育内容や制作物の話し合いをしている。三園が協力し、高め合いながら独自性を出して、子どもの健全な成長発達を図ることができれば至上の喜びだと考えています。皐月、5月、今月は連休が続きますが、子ども中心の保育活動にまい進してまいります。

三つ子の魂百まで

2018.04.01


 ご入園・ご進級おめでとうございます。
平成30年度(2018)の新しい学期が始まりました。幼稚園もいつの間にか歴史を刻んでまいりました。私たちの意思とは関係なく、時はすべてを飲み込んで過ぎていきます。さて、秋を好きだという人も多い。日本人の心に寄り添うような「わび・さび」の世界、樹木が生気を失い、燃え尽きる最後のその瞬間に見せる艶やかさに魅了される紅葉の世界、人生の黄昏を迎えた人だけでなく、若い人の心にも訴えるところが多い。しかしこれから生長し、人生を謳歌しようとする意欲と野心に満ちた若い人にとって春はその象徴そのもの、生気あふれ、生きとし生きるもの全てが躍動にあふれ、これでもかと思えるほど、優美で豪華絢爛たる姿で私たちに迫ってくる。野山は薄緑や濃い緑一色、その中に普段は埋没していた木々はその存在感を示すかのように様々な花の色で、そこにいることをアピールしている。命の短い草花もしかり、春爛漫を彩る貴重で大事な要素を成している。気温も18度から25度、寒くもなく暑くもない。やる気と元気を絞り出すちょうどよい温度だ。お子様のご入園おめでとうございます。ようこそ私たちの仲間へ。「三つ子の魂百まで」「As the boy, so the man」のように幼児期の重要性を述べた諺は洋の東西を問わず多い。それは誰もが認識していること。ノーベル経済学賞を受賞したアメリカシカゴ大学ヘックマン教授の著作による幼児教育の経済学「Giving kids a fair chance 」では、幼児教育の重要性を説き、それが将来にどのように影響を及ぼすかを実証的に述べている。日本の国会でも度々この本が取り上げられ、国家の予算も、成熟した人々に使うよりは、同じお金なら、幼児期の子どもたちに使うほうがよほど効果的であると言われている。日本政府もそのことを意識し、幼児教育、保育関連に予算の増額を向け始めた。何も幼児教育にお金がいるから予算を回せと言っているのではない。今のままでも日本の幼児教育を支えていけるかもしれないが、より充実した施設、備品、教材などの確保や他の企業と比較しても低いと言われている報酬なども標準に近づくことができる。そして何よりも保護者負担の軽減が以前に比べて大きくなってきたのも確かである。保護者の皆様からお預かりした子どもたちが幼稚園大好きといってもらえるよう、そして大きく成長したと実感してもらえるよう、日々の様々な活動を通して、子どもたちとスキンシップを重ねてまいります。この間の卒園式でも感激しました。すべての子どもたちが名前を呼ばれたら大きな声で返事をし、お辞儀をし、修了証書を受け取り、又お辞儀をして席に帰っていくのです。小、中、高、大と上がっていくにつれ、能力に差が出ていますが、年長組さんの時は誰もが全く同じ能力と言って差し支えないほど結構難しいと思われることでも同じようにできるのです。ではどうして差ができてしまうのだろうか。育った環境、遺伝、学校教育、人々の出会い等々様々な要因があるのだろう。幼児の時に立派だったことが大きくなっても同じように立派でい続けてほしい。外的要因もあるが、お父さん、お母さん、学校の先生の影響も大きい。幸せな成長・発達を望んでやまない。在園時の皆さん、一つ大きくなりました。お兄さん、お姉さんになったのです。小さい後輩も入園してきました。いろいろ楽しいことや嬉しいこと、面白い遊びも教えてあげましょう。昨年できなかったことも今年はきっとできるようになります。今年も先生たちと一緒に元気に、楽しく大好きな幼稚園で過ごしましょう。これから始まるお子様の新しい幼稚園生活、保護者の皆様の負託に応えることができますよう、教職員一同力を合わせて取り組んでまいります。どうか今後ともご支援お力添えを賜りますようお願いいたします。そしてこの愛おしい、何物にも代えがたい子どもたちの上にいつまでも健康と幸せの女神が宿りますよう心より願ってやみません。

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